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牧場での夜警。軽い気持ちで引き受けたが、これは少し問題があったなと、隣でうとうとしてはかぶりを振るピティを見て今更ながらに思う。時刻はとうに日付をまたぎ深夜を示している。隣にいる少女が未だ子どもだという事を失念していたのだ。
一晩くらい何とかなるか、明日以降は夜警以外の仕事を回してもらおうと思いピティに少しくらいならと睡眠を促すも、今は仕事の最中だと断られてしまう。真面目な事は美点でもあるがそれはまた欠点にもなりうる、今回のそれは後者ではなかろうか。何より事が起きた際、朦朧としていたのでは話にならないのだ。
「阿呆休め、これは命令じゃ。いざという時足手まといになられては敵わん迷惑じゃ」
素直に心配だからと言えばいいものの口から出てくるのは嫌みばかりで、自身どうにかならないものかと頭を悩ませる。普段と変わらずさして気にした様子もなく、迷惑になってはいけませんね、と休むことを受け入れた彼女の精神力の強さには呆れを通り越して尊敬する程であり感謝の念を覚えるばかりである。
寝入ったピティにせめてもの布団代わりにとマントを掛ける。この調子ならば朝までそう変わったこともおこるまいと思いつつ、惚けないよう気合いを入れ、冷たい空気を肺に送り込む。じきに夜も明けるだろう、ぽつりぽつりと遠くで家畜たちの声が聞こえ始める。日が昇ったら一眠りさせて貰おうと、小さくあくびをこぼす。
今日は特に不審な人物を見かけなかった。ゾーマラはのどかだなあ……。

rukiさん宅ピティさんお借りしています。
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